地震観測システム

概要
 軟弱地盤上の大規模構造物(2005年9月竣工,2006年4月開校)に免震装置を設置するに当たり,その実挙動を追跡調査することを目的として,免震装置の上下に12台,校舎脇のGL-1,40mに各1台の計14台の加速度計が設置され,2007年7月29日に地震観測システム(既存システム)が稼働している.なお,免震層の維持管理目的に,4基のけがき式変位計も設置されている.なお,豊洲校舎の工事期間は,2003年6月6日〜2005年9月30日で,2006年4月1日に供用されている.
 2010年3月より,上部構造体の地震時挙動を観測することを目的に,教室棟,研究棟の4階以上に加速度計を設置された.これらの加速度計は,学内LANに接続されたネットワークセンサーで建物の上部に10台,既存システムの地震計との比較のため,地震計4(免震層階)の箇所に1台,自由地盤の地震記録として,1台の計12台のネットワークセンサーを設置している.また,既存の変位計はけがき式変位計のため,時間の情報を得ることができなかった.そこで,免震層にデジタル式変位計が設置され,既存の集録装置に接続されている.
 2012年5月には,教室棟に1台,研究棟に1台,交流棟に3台の計5台のネットワークセンサーを増設する.

地震計の設置場所(2021/05/25更新)

地震計
No.
タイプ 建物 水平
位置
垂直位置 座標(m) CH番号 記録方式 備考
Y X Z Y X Z ・集録装置(教室1階防災センター内)に専用線で接続され,トリガーが起動したときのみ地震記録が保存される.

・2010/3/25以前は,FMラジオ時報による時刻校正,同日から,GPSによる時刻校正を行っている.


・2007/7/29に観測システム稼働
1 加速度 交流 西側 免震層階 91.80 15.8 -8.86 1 2 3
2 加速度 交流 東側 免震層階 91.80 59 -3.70 4 5 6
3 加速度 教室 西側 免震層階 91.80 96.8 -10.36 7 8 9
4 加速度 研究 東側 免震層階 91.8 156.2 -10.36 10 11 12
5 加速度 研究 南側 免震層階 10.8 156.2 -4.45 13 14 15
6 加速度 交流 西側 地下一階階段踊り場下 76.09 1.86 -5.50 16 17 18
7 加速度 教室 西側 地下一階第一サブ変電室 97.69 109.17 -7.00 19 20 21
8 加速度 研究 東側 地下一階第二サブ変電室 97.69 149.52 -7.00 22 23 24
9 加速度 交流 西側 1階 82.47 7.85 0.00 25 26 27
10 加速度 交流 東側 1階 79.53 52.62 0.00 28 29 30
11 加速度 研究 北側 1階(受付付近のトイレ内) 85.12 152.27 0.00 31 32 33
12 加速度 研究 南側 1階EPS室 14.73 161.6 0.00 34 35 36
13 加速度 地盤   GL-1m 114.87 132.93 -1.00 37 38 39
14 加速度 地盤   GL-40m 114.87 132.93 -40.00 40 41 42
D1 層間変位 研究 南側 免震層階 6.34 160.34 -4.45 43 44 45 ・2010/3/25に観測システムが稼働
D2 層間変位 研究 北側 免震層階 72.01 142.00 -4.45 46 47 48
D3 層間変位 研究 東側 免震層階 98.43 157.98 -10.36 49 50 51
D4 層間変位 教室 西側 免震層階 106.86 94.41 -10.36 52 53 54
101 加速度 研究 東側 免震層階(地震計4の脇) 91.80 156.20 -10.36      
・学内LANに接続されたネットワークセンサー.

・このセンサー内のフラッシュメモリーに24時間,振動が記録される.       
102 加速度 教室 西側 4階DPS4-8室 96.70 79.86 14.40      
103 加速度 研究 東側 4階AC4-1室 97.47 162.27 14.40      
104 加速度 研究 南側 4階AC4-4室 -0.80 161.56 14.40      
105 加速度 教室 西側 7階DPS7-8室 96.68 79.88 27.00      
106 加速度 研究 東側 7階AC7-1室 98.01 161.72 27.00      
107 加速度 研究 南側 7階AC7-4室 -0.98 161.59 27.00      
108 加速度 研究 北側 9階AC9-1室 98.13 161.45 37.20      
109 加速度 研究 南側 9階AC9-4室 -0.92 160.70 37.20      
110 加速度 研究 北側 14階AC14-1室 98.12 161.52 57.20      
111 加速度 研究 南側 14階AC14-4室 -0.91 161.56 57.20      
112 加速度 守衛小屋 1階(新校舎建設のため2019/12/3廃止) 30.60 -14.85 0.00      
113 加速度 教室 西側 1階DPS1-8室 -97.20 80.60 0.00          ・2012/5/13に増設・稼働
(115のみ2013/3/1に設置)
114 加速度 研究 中間 9階09I30 48.60 161.6 37.20         
 115 加速度 交流 西側 4階DPS4-1室 75.60 5.00 14.40         
116 加速度 交流 東側 4階DPS4-7室 94.50 64.40 14.40         
117 加速度 交流 西側 7階DPS7-1室 75.60 5.00 27.00         
118 加速度 交流 東側 7階教室側屋根裏通路 97.20 64.40 27.00         
119 加速度 守衛小屋   GL-40m(新校舎建設のため2019/12/3廃止) 27.65 -10.60 -40.00        ・2012/10/26に増設・稼働
T-1  層間変位 研究 南側 免震層階 8.35 160.37  -4.45       感圧式層間変位計    
T-2  層間変位 研究 北側 免震層階 70.20 143.34  -4.45      
T-3  層間変位 教室 西側 免震層階 105.30 95.33  -10.36      
T-4  層間変位 交流 中央 免震層階 86.01 25.62  -8.86      

※Z軸の座標を訂正(2014/11/07)


地震計1〜14, 変位計D1〜4, ネットワークセンサー101,112の設置位置

※地震計の向きは,上図のX,Y,Z(上向きが+)方向です.

地震計102〜111の設置位置


観測システム(主な構成)
地震計1〜12:サーボ型加速度計(東京測振社製,SV-355T)
地震計13, 14:サーボ型加速度計(東京測振社製,SA-355CT)
時刻校正:【2005/7/29〜2010/3/24:ラジオ時報】【2010/3/25以降:GPS】(いずれも東京測振社製,ST-SE570)
集録装置:24bit分解能ICカード集録装置(東京測振社製,SAMTAC-700)
観測開始日:2007年7月29日(校舎の竣工は:)
以上の設置者:学校法人芝浦工業大学

変位計D1〜4:回転角付変位計(東京測振社製, DPR-600A ):時刻校正,集録は上記の集録装置で行っている.
地震計101〜112
:ネットワーク・サーボ型加速度計(東京測振社製,SV-355T):時刻校正はNTPサーバ(学内施設)との通信により行っている.記録は各加速度計内のフラッシュメモリーに保存され,定期的にネット経由でPCサーバーにコピーしている.
観測開始日:2010年3月25日
以上の設置者:東京大学橋梁研究室芝浦工業大学地震防災研究室

□観測システムの更新について
・地震計101の感度を10倍とする.これに伴い記録できる最大加速度は200galへと変更となる.(2012/05/08実施)
・地震計101-112の地震計の電子回路基盤の交換にともなうSN比の向上(2012/05/08,2012/05/13に実施)
・地震計113,114, 116-118の追加(2012/05/13実施)
・地震計119の追加(2012/10/26実施)
・地震計115の追加(2013/03/01実施)
・地震計101-119のシステムのバージョンアップ(2013/09/26-27実施)
・地震計101-119のシステムの更新(2014/10/29実施)※この更新プログラムに誤りがあり、12/5までの記録のトリガー時刻の不正確、ヘッダ部のサンプリング数(N)より記録は短くなる可能性がある、などの不具合がある。
・地震計101-119のシステムの再更新(2014/12/05実施)※上記の不具合(2014/10/29)のトリガー時刻への対応をする。なお、サンプリング数に関しては以降の対応することとしている。
・地震計101-119のシステムの再再更新(2014/12/17実施)※上記の不具合(2014/10/29)のサンプリング数への対応をする。なお,NTP時刻校正関連logの不具合(古いlogの自動削除機能がうまく働いていない)が見つかり,今後対応する.
・地震計119,112の時刻校正をNTP方式からGPS方式へ変更(2016/02/23実施)(地震計119(マスター):10分間隔でGPS受信,地震計112(スレーブ):1分間隔で119側と同期.なお,この同期は両地震計間の専用線を通して行われている.) ・新校舎建設のため地震計112,119での観測を終了(2019/12/3)
謝辞:本システムBは,CREST(科学技術振興機構)(科学技術振興機構)の研究課題「都市基盤の災害事故リスクの監視マネジメント(代表:東京大学藤野陽三教授)」の一環で行われています.システム構築に当たり,(株)東京測振 ,芝浦工大施設課の方々に大変お世話になりました.記して,感謝申し上げます.

最終更新:2021/05/25