2024年度 地盤振動工学特論
時間:月曜日3限(13:20-15:00)
教室:教室棟PC講義室1
評価:レポート100点(6回)
内容:地震動は時間領域の現象ですが,フーリエ変換を用て周波数領域へ変換することにより,地震動の性質がより理解することができるようになります.地震動の周波数特性(地震動特性)は,3つの特性(『震源特性』『経路特性』『地盤特性』)の積として表せます.このことにより,これらの特性を評価することにより,地震動の特性を評価可能となります.
 本講義では,まず,フーリエ変換を学びます.これにより,時間領域と周波数領域の変換が可能となります.次に,2種類の地震波形の作成方法を学びます.これらの作成方法は,現在の設計でよく用いられている方法とこれから多用されると考えられる方法を取り上げています.地震動波形の作成を学ぶことにより,ランダムに見える地震波形を理論に解釈できるようになることが期待されます.なお,両者の方法は共にフーリエ変換を用いています.
 この講義では,地盤特性についても深く学びます.地盤特性はSH波の重複反射理論を用いて地盤の物性値から求めることができます.本講義では,この重複反射理論を学びます.また,地盤特性を推定する方法として使用される常時微動についても学びます.
 以上のことから,地震動を単なるランダムな現象ではなく,物理的背景を持った地震動であり,工学的に,合理的に地震動を扱うことができるようになるための学修をします。
目的:任意の建設サイトの地震動を予測できるようになることを目的とする.
目標
1.地震動の特徴を理解する上で必要な数学のツールであるフーリエ変換の基本的な内容を説明できる
2.応答スペクトルに適合する模擬地震動を作成できる
3.統計的グリーン関数法を用いて模擬地震動を作成できる
4.重複反射理論を用いて地盤の物性値と地盤特性の関係を説明できる
5.地盤特性と地震被害との関係を説明できる

 No. 日付 内容 
 1 9/30 イントロ
・目的の説明
・講義の進め方
・評価方法について
・講義全体の概要(フーリエ変換,応答スペクトル適合波,統計的グリーン関数,重複反射理論)
・地震動の概観(O=S×P×G)
 2 10/7 離散フーリエ変換(1)
・スペクトル解析
 3 10/14 離散フーリエ変換(2)
・エクセルを使った離散フーリエ変換の演習
 4 10/21 離散フーリエ変換(3)
・レポート課題@
 5 10/28 応答スペクトルについて(1)
・応答スペクトルの定義
・一自由度系問題の解法(線形加速度法)
・レポート課題A
 6 11/11 応答スペクトルについて(2)
・一自由度系問題の解法(フーリエ変換を用いる方法)
 7 11/18 応答スペクトル適合波
・設計用地震動について
・応答スペクトル法の概要
・レポート課題B
8 11/25 統計的グリーン関数法による強震動予測手法(1)
・地震断層について
 9 12/2 統計的グリーン関数法による強震動予測手法(2)
・理論
10 12/9 統計的グリーン関数法による強震動予測手法(3)
・理論
11 12/16 統計的グリーン関数法による強震動予測手法(4)
・演習
・レポート課題C
12 12/23 重複反射理論
・エクセルを用いた実習
13 1/20 増幅特性と常時微動の関係
・微動のH/Vスペクトル
・レポート課題D
講義全体のまとめ
14 1/27 レポート対応
・レポート課題E

☆内容は進行状況によって変更する場合があります.